#ラグジュアリーホテル #ニューラグジュアリー #サステナビリティ #顧客体験価値 #ホテル
CIAでは、プロジェクトを通してモノやコトの開発だけではなく、その先にある体験価値に基づいて、ブランドが社会や都市に対してどのような意味を生み出すかという観点からブランディング支援を行っています。これまでラグジュアリー領域でリゾートホテル、レジデンス等の開発のほか、直近では2030年までに東京に建設されるラグジュアリーホテルの新ブランド構築のサポートをしています。どのように新旧の富裕者層やラグジュアリーの考え方が変化し、新たなラグジュアリー層に響く顧客体験を提供するかについてご紹介したいと思います。
#ニューラグジュアリー層とは
ミレニアム、Z世代を中心に、ものを所有するより「体験」や「意味ある」消費とサステナビリティを重視している富裕者層のことをいいます。
物心がついた頃からパソコンやインターネットが普及した環境で育ったデジタルネイティブであり、SDGsに対する意識も高い。企業の情報発信と透明性を重要視し、サステナビリティへの責任を果たしているサービスや企業を選ぶ価値観を持っています。そのような思考性を持った方々がニューラグジュアリーとして、新しいラグジュアリーマーケットを開拓しています。特にファッション業界やホテル、レジデンス領域での動きが顕著に見られます。
#2030年までに外資系ホテルが続々と開業
東京においては、日本企業より外資系のホテルブランドの進出が目立っており、今後はより競争が激化することが予想されます。ブランドの大きな動きとしては、2023年秋頃にアマンの新しいブランド「ジャヌ東京」が世界に先駆けて、東京・虎ノ門に開業。アマンの提供価値が「静謐の空間」であるなら、ジャヌは「つながりの場」をテーマに、ソーシャルウェルネスを体験の核として展開が予定され、世界で初めて開業するJANUブランドに注目が集まっています。
他にも2023年4月、東京駅前に宝飾ブランドの「ブルガリホテル東京」。2023年9月にはタイの大手ホスピタリティグループであるデュシット・インターナショナルが日本で初めて「デュシタニ京都」を開業予定です。
以下は2023年以降日本に誕生する外資系ラグジュアリーホテルの一覧です。

※日本に開業するラグジュアリーカテゴリーに該当する外資系ホテルを対象に、各社HP等の公開情報をもとにCIA Inc.で作成。2023/4時点の情報につき、今後変更される場合があります。
なぜ、ニューラグジュアリー市場が活発になっているのか?世界と日本の富裕者層が増加している背景をご紹介します。
#世界と日本の富裕層の推移
投資可能な資産を100万ドル以上持つ富裕層の割合は2015年から2021年にかけて年々上昇傾向にあり、コロナ禍である2020年から2021年にかけて、株式市場の景気回復による影響で資産が増加したケースもあります。富裕層が多く住む国として、世界でも上位にランクインする日本国内における富裕層世帯数は、 2021年148.5万世帯、人口比率で1.20%。2021年の富裕者率は対2011年と比較し1.83倍であり、日本の人口は減り続けているものの、富裕者層は増加している傾向と分かります。そのため、富裕層自体のマーケットが拡大しており、富裕層のニーズを満たす質の高いサービスが今後、より求められてきます。


#新旧富裕者層のテイストと旅に求める要素とは
世界、日本ともに富裕者層が増加しており、各々の価値観やテイストと旅行へのニーズについて考察していきます。
従来型のラグジュアリー層は富や権力等、世間における評価が重要で、華美で豪華なテイストを持つものに関心を示す傾向があります。旅に求める要素は、高額消費かつ休養できるかがポイント。一方、ニューラグジュアリー層は、文化や新しいことへの挑戦等、体験や意味を重視する傾向にシフトしています。
上記に加えてCIA Inc.では独自のネットワークを用いて、国内外のラグジュアリーマーケットのエグゼクティブクラス、クリエイティブワーカー、ホテルに関する深い知見をもった有識者や富裕者層にヒアリングを実施しました。独自の調査・分析した結果、以下5点がこれからの旅やホテルの体験に求める要素と導きました。


1.環境デザイン
宿泊することが大前提なので滞在時間を心地よくするための素材、質感にもこだわった環境デザインが必要です。
2.サービス
多忙でありながら最高の旅にしたいと思っている顧客の要望に対して、マニュアル通りのサービスだと顧客に真に満足してもらうことは難しいです。長時間のフライトを経て日本へ到着した直後に、最短で心身のパフォーマンスを回復するウェルネスサービス、季節や天候に合わせてその時々の滞在を最大限、納得のいくものにアレンジできる柔軟性が求められます。
3.偶然性
型に囚われずに人と人が偶然につながり、カルチャーやビジネスの話題で盛り上がる等、顧客同士の感性が交差し、セレンディピティが感じられる場の設計が大切です。
4.エクスペリエンス
ニューラグジュアリー層は、自分の知性や教養をより高められる、土地に根付いた文化が掘り起こされ、その土地ならではの「本物の体験」をすることを、期待しています。
5.持続可能性
世界を良くするために、「自然を残し、壊さない」開発を心がけ、客室、食等全てに対してサステナブルな取り組みを実行していくこと。また、感性を高められ、人生を豊かにすることにつながる心身の健康にアプローチしたウェルネスコンテンツも重要視しています。
#ニューラグジュアリー層に響く体験価値とは
ホテル開発における要素は、複数あります。環境計画、コンテンツ計画、コミュニケーション計画、運営ホスピタリティ計画など。これからの新しいラグジュアリーホテルに求められる要素を踏まえ、「ここでしか体験できない唯一無二のもの」こそ、感度が高い富裕者層の満足度を高められると考えます。競合にはない独自性と特別な体験を提供するコンテンツを「Wow ファクター」と定義し、次なる富裕層であるニューラグジュアリー層に響く体験、コミュニケーションを提案した事例を一部ご紹介します。

上記では、ラグジュアリーホテルのトレンドを示しています。旅行の全行程に対して、富裕者層は、宿泊体験、食、アクティビティ、買い物、交通など、質が高く、パーソナライズされたサービスを求めています。特にサステナビリティや異文化理解を踏まえたサービスは、島国である日本の立地上どうしても遅れをとっており、世界の動きを積極的に取り入れていくことが必要です。
次に、日本の独自性やブランドならではのDNA、立地特性を生かして、競合との差別化を図っていくこと。何より、ターゲットとしているニューラグジュアリー層が普段どのようなライフスタイルを送っているのか、住まいの広さや規模感、仕事のスタイル、家族や友人との過ごし方や趣味嗜好等、生き方に対するスタンスを含めた世界観をトータルに理解したうえで、開発をしていくことが重要です。
CIA ではこれまでのプロジェクトの知見やグローバル視点を踏まえて、クライアント企業様がニューラグジュアリー層に響く顧客体験価値を提供できるためのサポートをしています。興味・関心を持って頂けましたら、お気軽にお問い合わせよりご連絡ください。